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国産と輸入のグラスフェッドバター、確かめる場所は表示ではありません

  • 8月17日
  • 読了時間: 11分

更新日:8月20日

スーパーの乳製品売り場で国産のグラスフェッドバターを探すとき、多くの人がパッケージの表面に大きく印字された「グラスフェッド」の文字を頼りにします。しかし、その文字が本当に草だけで育った牛のミルクを証明しているとは限りません。日本にも米国にもグラスフェッドを定めた公的な基準が存在しないからです。確かな品質を手にするには、商品ラベルではなく生産者の発信する具体的な情報に目を向ける必要があります。



日本にも米国にもグラスフェッドの公的な基準は存在しません


グラスフェッドという言葉をパッケージに記載するための、法律や国が定めたルールはありません。米国農務省はかつて2007年にグラスフェッド表示の任意基準を定めましたが、多様な飼育環境を一つの基準で縛ることの限界などから、2016年にその基準を撤回し、民間の認証機関に委ねました。日本においても、グラスフェッド表示を定めた公的な基準はありません。

日本の乳等省令という法律では、バターの規格は乳脂肪分80.0パーセント以上、水分17.0パーセント以下、大腸菌群陰性と厳密に定められています。売り場に並ぶバターはすべて、この成分と安全性の基準を確実に満たしています。しかし、この法律は最終的な製品の成分を規定するものであり、その原料となるミルクを出す牛が、牧場で何を食べて育ったかという飼育の過程までは規定していません。

公的な基準がない現状では、「グラスフェッド」という言葉を誰でも自由に使うことができます。一年中牧草だけで育てた牛のミルクを使ったバターも、一定期間だけ牧草を与えた牛のミルクを使ったバターも、同じようにグラスフェッドと名乗ることが可能です。言葉の定義は、それぞれの生産者の考え方に完全に委ねられています。

そのため、パッケージの洗練されたデザインや力強いキャッチコピーを読むだけでは、その牛がどのような環境で過ごし、どのような草を食べていたのかという実態を確かめることはできません。



表示から読み取れる事実と、読み取れない事実を区別します


商品を手に取り、裏面の食品表示ラベルを確認する動作は多くの人が習慣にしています。そこには法律で定められた情報が正確に記載されていますが、グラスフェッドバターを探す際に知りたい核心の情報は、その小さな枠組みの中には書かれていません。

パッケージの表示から分かること

パッケージの表示からは分からないこと

原材料名(生乳、食塩など)

牛が食べていた牧草の種類や割合

栄養成分(乳脂肪分などの数値)

穀物飼料を与えていた期間の有無

内容量と賞味期限

牧場での放牧期間や牛の過ごし方

製造者または輸入者の名前

原料となるミルクを搾った具体的な牧場名

食品表示法に基づく一括表示から読み取れるのは、製品の最終的な状態です。原材料名に「生乳」と書かれていれば、それが混ぜ物なしのミルクから作られたことは分かります。栄養成分表示を見れば、カロリーや脂質の均一化された数値を確認できます。

しかし、原材料名に「生乳」と記載されていても、その生乳が広大な放牧地を駆け回る牛から搾られたものなのか、牛舎の中で過ごす牛から搾られたものなのかは追跡できません。また、栄養成分の数値は年間を通して一定の基準値が記載されることが多く、季節の草の変化による細かな変動までは反映されません。

表示義務がない以上、飼料の内訳や放牧の期間といった飼育の背景がラベルに記載されることはありません。表示を隅々まで読み込んでも、飼育の真実にはたどり着けません。確かめるべき場所は、パッケージの外に広がっています。



確かめるべきは生産者が公開する飼育の具体性です


グラスフェッドの実態を確かめるために今日からできる具体的な動作は、スマートフォンを取り出し、生産者のウェブサイトを直接開くことです。商品名や製造元の名前で検索し、そのバターが作られるまでの工程や、牛の育て方について説明しているページを探します。

公的な基準がないからこそ、誠実な生産者は自分たちの「グラスフェッド」の定義を自らの言葉で具体的に公開しています。ウェブサイトを読み解く際は、以下の3つの項目が明記されているかを探し出します。

一つ目は、放牧の期間です。春から秋にかけての何ヶ月間を外の放牧地で過ごしているのかを確認します。そして、雪に閉ざされる冬の間は牛舎でどのように過ごしているのか、季節ごとの牛の暮らしが詳細に書かれているかを見ます。

二つ目は、飼料の内訳です。夏に食べる青草の種類だけでなく、冬に与える貯蔵草をどのように確保しているかを確かめます。もし牧草以外の飼料を与えている期間があるなら、その理由と割合がごまかさずに説明されているかを探します。

三つ目は、牧場名です。どこの誰が育てた牛のミルクを使っているのかを読み取ります。単一の牧場のミルクだけで作っているのか、複数の牧場のミルクを混ぜて製造しているのか、ミルクの出どころが明確にされているかを調べます。

これらの事実が詳細に書かれているほど、生産者が自らの飼育方法に責任を持ち、透明性を保とうとしている証拠になります。どんな環境で育ったか、一度だけ調べてみることで、パッケージの言葉に依存しない確かな選択が可能になります。



国産と輸入品では牛が育つ土地の前提が異なります


スーパーや輸入食材店の棚に並ぶグラスフェッドバターの多くは、オーストラリアやニュージーランドなどの海外産です。国産のグラスフェッドバターを探しても見つかりにくいのは、それぞれの国における酪農の前提が根本的に異なるためです。

比較項目

輸入品(豪州・ニュージーランド等)

国産のグラスフェッドバター

土地の広さ

広大な放牧地を確保しやすい

国土が狭く、広大な放牧地は限られる

気候と牧草

一年を通して牧草が育ちやすい環境がある

四季があり、冬は牧草が育たない地域が多い

飼育の主流

放牧による飼育が一般的

牛舎で飼う「舎飼い」が約9割を占める

日本の国土は約7割が森林であり、平坦で広大な放牧地を確保できる場所は限られています。そのため、日本の酪農は牛舎の中で牛を飼育する「舎飼い」が約9割を占めるとされています。これは限られた面積で効率よくミルクを生産するための、合理的な選択として発展してきた形です。

また、日本の飼料自給率は26パーセントにとどまります。牛のエネルギー源となるトウモロコシや大豆などの濃厚飼料については、約87パーセントを輸入に頼っているのが現状です。

この環境下で、輸入飼料に頼らず牧草だけで牛を育てる国産グラスフェッドを実現するには、途方もない手間と時間がかかります。自らの土地で土を耕し、牧草の種を蒔き、牛が食べる分の草を自前で確保しなければなりません。冬の間の餌となる草も、夏の間に刈り取って発酵・乾燥させ、大量に貯蔵しておく必要があります。

国産のグラスフェッドバターが希少である理由はここにあります。限られた土地と厳しい四季の変化の中で、独自の工夫を重ねて牧草を育て、牛と向き合う生産者の日々の工程が、そのバターの存在を支えています。



「100パーセントグラスフェッド」と「グラスフィニッシュ」の意味を区別します


生産者のウェブサイトを読んでいると、飼育方法を表すいくつかの専門的な言葉に出会います。これらの言葉の意味を区別することで、牛の育った環境をより正確に把握できます。

「100パーセントグラスフェッド」とは、牛が生まれてからミルクを搾るまでの生涯にわたって、牧草のみを食べて育つことを指します。夏の青草であれ、冬の貯蔵草であれ、口にするものは草だけです。

一方、「グラスフィニッシュ」という言葉があります。これは、生育の途中までは穀物などの別の飼料を与え、出荷や搾乳の前の一定期間だけ牧草を与えて仕上げる方法を指します。

また、一般的なバターの原料となるミルクは、「グレインフェッド」と呼ばれる飼育方法で育った牛から搾られます。これはトウモロコシや大豆などの穀物を中心とした飼料を与える方法です。穀物を与えることで、牛の成長を早めたり、乳量を安定して増やしたりする仕組みです。

これらの言葉についても、法律で厳密な期間や割合が定められているわけではありません。そのため、「100パーセントグラスフェッド」と書かれていても、栄養補助のために微量のミネラルや穀物をどの程度許容しているのか。あるいは「グラスフィニッシュ」であれば、最後の何ヶ月間を牧草で育てたのか。結局のところ、生産者が自らの基準をどこまで具体的に公開しているかを読み解く動作に戻ることになります。



季節による草の変化がグラスフェッドバターの味と色を決めます


牧草だけで育つ牛のミルクは、季節によって味わいと見た目が変化します。工場で配合を調整する工業製品のように、一年中同じ味にはなりません。牛が食べる草の状態が、ミルクの成分にそのまま反映されるからです。

グラスフェッドミルクから作るバターは、すっきりとして後味が軽いのが基調です。口に含むとミルクの甘みがしっかりと残ります。当社が実際に確かめた見解として、この軽やかさは明確な特徴です。お客様からも「軽さに驚く」「あっさりしている」という反応が実際に多く寄せられます。

夏の間、牛は放牧地で水分をたっぷり含んだ青草を食べます。この時期のミルクから作るバターは、青草の香りが立ち、すっきり軽やかな味わいになります。青草にはβ-カロテンという色素が豊富に含まれており、それがミルクに移るため、バターの色は鮮やかな黄色みを帯びるのが特徴です。

冬になると、牛は夏の間に刈り取って発酵させたサイレージや、乾燥させた乾草などの貯蔵草を食べます。水分の少ない草を食べることで乳脂肪が乗り、ミルクのコクが増して濃厚になります。草の香りは夏よりも穏やかになり、β-カロテンの摂取量が減るため、バターの色は白に近づいていきます。

色は淡くなり、香りは穏やかになり、コクは増す。色と草の香りとコクは、それぞれ別の軸で変化します。朝のトーストにバターを乗せて溶け出す瞬間の香りの違いに、季節の移ろいを感じるのがグラスフェッドバターの味わい方です。



発酵と非発酵の違いがバターの個性をさらに広げます


グラスフェッドバターを選ぶ際、もう一つ確認したいのが製造工程における発酵の有無です。バターには大きく分けて「発酵バター」と「非発酵バター」があります。

バターは、ミルクから分離したクリームを激しく撹拌し、脂肪球をぶつけ合わせて水分を抜くことで作られます。発酵バターは、この撹拌の前の段階でクリームに乳酸菌を添加し、温度管理をしながら発酵させる工程を加えたものです。ヨーロッパでは古くから保存性を高めるために自然発酵が進んだ歴史があり、現在でも発酵バターが伝統的な主流として親しまれています。乳酸菌の働きによって、特有の芳醇な香りとさわやかな酸味が生まれます。

一方、日本で主流となっているのは非発酵バターです。クリームを発酵させずにそのまま撹拌して作ります。私たちが普段から食べ慣れている、ミルクの風味をストレートに感じるクセのない味わいです。

グラスフェッドミルクのすっきりとした軽い後味に、発酵による酸味と香りが加わることで、バターの味わいはさらに深みを増します。国産のグラスフェッドミルクを使い、さらに発酵の手間をかけたバターは、日本の酪農の枠を超えた特別な存在です。冷蔵庫を開けてそのバターを取り出すとき、遠く離れた牧場の景色と、牛が食んだ草の香りが食卓に広がります。



よくある質問


Q. グラスフェッドバターは普通のバターとどう違いますか

一般的なバターの原料となるミルクは、トウモロコシなどの穀物を中心とした飼料を食べて育つ牛から搾られます。一方、グラスフェッドバターは牧草を食べて育つ牛のミルクから作られます。この飼料の違いが、特有のすっきりとした軽い後味や、季節による風味の変化を生み出します。


Q. なぜ国産のグラスフェッドバターは価格が高いのですか

日本の酪農環境と飼育の手間が価格に反映されています。日本の酪農は約9割が牛舎で飼う「舎飼い」であり、広大な放牧地を確保できる場所は限られています。冬の間の貯蔵草を自前で確保するための土づくりや草の刈り取りには膨大な時間と労力がかかり、大量生産が難しいためです。


Q. グラスフェッドバターの色が黄色いのはなぜですか

夏の間に牛が食べる青草にβ-カロテンという色素が豊富に含まれており、それがミルクに移るためです。冬になり、牛が発酵させたサイレージや乾草などの貯蔵草を食べる季節になると、β-カロテンの摂取量が減るため、バターの色は白に近づきます。


Q. スーパーの棚でグラスフェッドバターを見分けるにはどうすればよいですか

パッケージの文字を見るだけでは実態は分かりません。商品名やメーカー名で検索し、スマートフォンの画面で生産者のウェブサイトを確認します。そこで放牧期間や飼料の内訳、具体的な牧場名について詳細な説明があるかを確かめることで見分けることができます。


Q. グラスフェッドバターはどのように食べるのがおすすめですか

すっきりとした軽い味わいを楽しむため、まずはシンプルなトーストに塗って味わってみてください。ミルクの甘みと軽やかな後味をそのまま感じることができます。また、ブラックコーヒーに溶かして飲むバターコーヒーの材料としてもよく選ばれます。



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この記事はミルクデザイン株式会社が作成しています。北海道紋別郡西興部村で、萩原牧場のグラスフェッド生乳から牛乳・ヨーグルト・バター・チーズ・アイスクリーム・ソフトクリームを製造しています。

 
 
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