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牛乳からバターは作れるのか ── 必要なのは脂肪の濃さ

  • 8月17日
  • 読了時間: 4分

更新日:8月20日

牛乳から直接バターを作ることはできません。バターを作るには、牛乳の成分から脂肪分だけを分離して集めた「生クリーム」を用意します。牛乳とバターを隔てているのは手間ではなく「脂肪の密度」です。同じ生乳から出発しても、分離という一手を挟むかどうかで到達点が全く変わるのです。



バターの正体は限界まで凝縮された乳脂肪


冷蔵庫にある牛乳をペットボトルに入れて強く振っても、バターにはなりません。それは脂肪の割合が圧倒的に足りないからです。乳等省令という国の基準では、バターは乳脂肪分80.0パーセント以上、水分17.0パーセント以下と厳密に定められています。一方、そのままの牛乳は水分が大部分を占める飲み物です。この薄い脂肪分をいくら物理的にかき混ぜても、脂肪の粒同士がぶつかり合って固まることはありません。バターを作るには、生乳から脂肪分だけを分離して濃縮する工程が不可欠です。遠心分離機にかけて軽い脂肪分を集めたものが生クリームとなります。この濃縮された脂肪の層から出発して初めて、バターの製造ラインに立つことができます。では、バターの基準を満たすために、私たちはどれくらいの生乳を集めているのでしょうか。



200グラムのバターに4リットルの生乳を使う


バター1キログラムを作るには、約20から23キログラムもの生乳を使います。身近なスーパーの棚で見かける200グラムのバターを一つ作るのに、約4リットルもの生乳が必要になる計算です。牛乳パック4本分のミルクから、ようやくあの1箱が生まれます。私たちが作っているグラスフェッドバターの場合、この生乳の量は季節の乳質によって変動します。牛が食べる草が変わるからです。冬の貯蔵草の時期は乳脂肪が乗ってコクが増し、濃厚になるため、脂肪を集めやすくなります。色は白に近づき、草の香りは穏やかになります。対して、夏の青草の時期はすっきり軽やかで、脂肪分は冬より少し下がります。青草の香りが立ち、色はβ-カロテンによって黄色みを帯びます。季節の移ろいをそのまま反映する生乳から、途方もない量を凝縮してバターは作られます。次は、集めた脂肪をどうやって固めるのかを見ていきます。



脂肪の膜を壊して練り上げるチャーニング工程


濃縮したクリームをただ冷やしても、バターにはなりません。クリームの中の脂肪は、薄い膜に包まれて水の中に分散しています。この膜を物理的な衝撃で壊し、中の脂肪同士をくっつける必要があります。これがチャーニング(攪拌)という工程です。クリームを激しくかき混ぜると、脂肪の粒が集まって塊になり、水分と分離します。乳等省令でも、バターは「生乳、牛乳又は特別牛乳から得られた脂肪粒を練圧したもの」と定義されています。水分を抜いて残った脂肪の粒を、滑らかになるまで練り上げることで、私たちが知るバターの姿になります。小ロット製造の現場では、温度管理や練り具合のわずかな差が口どけに直結します。牛乳からバターを作るというのは、単に混ぜるのではなく、成分を分解して再構築する緻密な作業なのです。明日の朝、トーストにバターを塗る時に、その1かけらにどれだけのミルクが凝縮されているか想像してみてください。



よくある質問


Q. 市販の牛乳と生クリームを混ぜればバターは作れますか? 市販の生クリームをペットボトルに入れて強く振れば、手作りバターを作ることは可能です。ただし、牛乳を混ぜると脂肪分が薄まり、固まらなくなります。


Q. グラスフェッドバターの味は普通のバターと違いますか? 私たちのグラスフェッドバターはすっきりとして後味が軽く、ミルクの甘みが残ります。「あっさりしている」「軽さに驚く」という声をよくいただきます。


Q. 季節によってバターの色が違うのはなぜですか? 牛が食べる草が違うからです。夏は青草の色素が移行して黄色みを帯び、冬は貯蔵草を食べるため白に近づきます。


Q. バターを作った後に残る水分はどうなりますか? チャーニングの工程で分離した水分は「バターミルク」と呼ばれます。脂肪分はほとんど残っていませんが、風味豊かな液体です。



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この記事はミルクデザイン株式会社が作成しています。北海道紋別郡西興部村で、萩原牧場のグラスフェッド生乳から牛乳・ヨーグルト・バター・チーズ・アイスクリーム・ソフトクリームを製造しています。

 
 
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