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牛乳は太るのか、その条件

  • 8月9日
  • 読了時間: 4分

更新日:8月22日

「牛乳で太る」の主語は、じつは牛乳ではなく“1日の総カロリー”。 足せば増えやすく、置き換えれば減りやすい——今日は、足す? 引く?

「牛乳は太るから控えている」。ダイエット中にそう考えて、コップ1杯を我慢した経験はないだろうか。脂肪もカロリーもあるのだから、太る材料に見える。でも本当に、牛乳やヨーグルトは体重を増やす“犯人”なのか。査読された介入研究を開くと、話はもう少し込み入っていた。

先に結論を言うと、「乳製品そのものが太らせる/痩せさせる」という単純な図式は、証拠に支持されていない。カギは総摂取カロリーだ。食事量を減らさずに乳製品を“足す”と、体重はわずかに増える傾向が報告されている。一方、摂取カロリーを抑えた減量食の中で乳製品をとると、体重・体脂肪・腹囲の減りがやや大きく、筋肉量の目減りが抑えられたとする複数のメタ解析がある。つまり牛乳は、太る・痩せるを決める主役ではなく、“条件しだいで向きが変わる脇役”に近い。この“条件しだい”こそが、通説が半分正しく半分外れる理由だ。



なぜ「足すと増え、置き換えると減る」のか


体は足し算と引き算で動く。摂ったエネルギーが使うエネルギーを上回れば増え、下回れば減る——この収支が土台で、食品はその上に乗る係数にすぎない。牛乳コップ1杯(約200ml)はおよそ130kcal前後。いつもの食事に上乗せすれば、その分だけ収支はプラスに傾く。実際、カロリー制限をかけない研究では、乳製品を増やした群で体重が平均0.36kg“増えた”と報告されている[3]。ではなぜ減量食では逆に働くのか。ここで効くのが乳タンパクだ。牛乳のタンパク質はホエイとカゼインに分かれ、ホエイは短時間、カゼインは長時間の満腹感に寄与すると整理されている[5]。500mlを超える乳製品で満腹感が有意に高まり、次の食事量が減ったとするメタ解析もある[6]。糖質中心の飲料より、乳製品の方が満腹信号を出しやすいとされる[6]。満腹感が上がれば、同じ我慢でも他の食べ過ぎを抑えやすい。さらにタンパク質は、減量中に減りやすい筋肉を守る側に働くことも、複数の解析で示されている[2][4]。先回りして言えば、これは「牛乳を足せば満腹で痩せる」という意味ではない。飲んだ分のカロリーをどこかで引かなければ、収支はプラスのままだ[6]。

根拠の土台は、ランダム化比較試験を束ねたメタ解析だ。29試験・約2100人を統合した解析では、乳製品全体で体重は有意に動かず(−0.14kg)、体脂肪だけわずかに減った(−0.45kg)[1]。減量食に限ると差は広がり、体重で約1.3kg、腹囲で約2.4cm多く減ったと報告される[2]。別の37試験の解析でも、カロリー制限ありでのみ体重・体脂肪・腹囲が減り、制限なしではむしろ増えた[3]。ただし限界もある。効果はおおむね小さく、被験者の多くは女性で、筋トレを併用した研究では差が消えた[4]。脂肪の種類や乳糖の耐性など、個人差も残る。「万能」ではなく「条件つき」——ここまでが分かっていることだ。



明日からできる置き換えの発想


使えるコツは「足す」より「置き換える」。菓子パンやジュースの一部を、無糖ヨーグルトや牛乳に替えると、満腹感を保ちながら総カロリーを増やしにくい。逆に、いつもの食事はそのままに“健康のため”と1杯足すだけなら、収支はプラスに傾きやすい。飲むなら、その分をどこかで引く。減量中にタンパク質を確保したい人にとって、乳製品は選択肢の一つになりうる。ただし主役は牛乳ではなく、一日の総量だ。もちろん体質や好みは人それぞれで、乳糖が苦手なら、無理に飲む必要はない。家族にはこう言える——「牛乳が太らせるんじゃない。全体の量が決めるんだよ」。



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出典


  1. Chen M, Pan A, Malik VS, Hu FB. Am J Clin Nutr. 2012;96(4):735-747. doi:10.3945/ajcn.112.037119(PMID: 22932282)

  2. Abargouei AS, Janghorbani M, Salehi-Marzijarani M, Esmaillzadeh A. Int J Obes (Lond). 2012;36(12):1485-1493. doi:10.1038/ijo.2011.269(PMID: 22249225)

  3. Geng T, Qi L, Huang T. Mol Nutr Food Res. 2018;62(1):1700410. doi:10.1002/mnfr.201700410(PMID: 29058378)

  4. Stonehouse W, Wycherley T, Luscombe-Marsh N, Taylor P, Brinkworth G, Riley M. Nutrients. 2016;8(7):394. doi:10.3390/nu8070394(PMID: 27376321)

  5. Bendtsen LQ, Lorenzen JK, Bendsen NT, Rasmussen C, Astrup A. Adv Nutr. 2013;4(4):418-438. doi:10.3945/an.113.003723(PMID: 23858091)

  6. Onvani S, Haghighatdoost F, Surkan PJ, Azadbakht L. Clin Nutr. 2017;36(2):389-398. doi:10.1016/j.clnu.2016.01.017(PMID: 26923518)


この記事はミルクデザイン株式会社が作成しています。北海道紋別郡西興部村で、萩原牧場のグラスフェッド生乳から牛乳・ヨーグルト・バター・チーズ・アイスクリーム・ソフトクリームを製造しています。

 
 
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