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牛乳飲まない派の誤解

牛乳は避けるのに、ヨーグルトやチーズは大好きという人が少なくありません。一見矛盾していますが、そこには牛乳に対する誤解がありそうです。




 

女性に不人気(?)の牛乳

先日プライベートな会合(20歳代後半~40歳代の集まり)で、参加者に「牛乳をよく飲みますか?」と質問をしたところ、男女で答えが分かれました。女性はすべて「No」との答えだったのに対して、男性は「Yes」の答えが過半でした。もっとも少人数の会合でしたので、統計的に意味があるわけではないのですが、回答者の年齢層を考えると「そうかもしれない」と納得できる結果でした。


男性については、牛乳が好きで毎日のように飲むという人もいれば、ほとんど飲まないという人もいる状態です。一方、女性は全員が飲まないと回答。ただ、乳製品が嫌いというわけではなく、ヨーグルトやチーズはよく食べているとの答えでした。要は、牛乳を飲むことを避けているということです。


牛乳を飲まない理由としてすぐに思いつくことが、「牛乳は脂肪があるので太るのではないか」という懸念です。確かに、学校給食などで牛乳が毎日出されていることを思い出すと、「乳脂肪分が多くてカロリーが高そう」との連想が働きます。育ち盛りの子供には大事な食品であっても、ダイエットを気遣う年齢層が敬遠しがちです。


実は、牛乳の脂肪分は限定的です。日本人が1日に飲む牛乳の量(平均108㎖、コップ2分の1)に含まれる乳脂肪は約4gに過ぎません。その発熱量は36キロカロリーで、30代女性の必要量(1日)のわずか1.8%にとどまります。特に、乳脂肪は他の脂肪に比べて、体内に蓄積されにくいのです。


また、コレステロールを心配する方もいますが、それも限定的です。そもそもコレステロールは、たんぱく質や炭水化物ととに3大栄養素と言われる脂質の一種で、細胞膜を作る成分であり、脳の神経細胞を保護し、ホルモンの原料になります。


そのコレステロールは体内でも合成されますが、食物として1日350mgは取り入れる必要があります。ただ、牛乳コップ1杯(約200㎖)でも必要量の7%に過ぎませんので、牛乳のコレステロールは心配するにあたらないでしょう。ちなみに、卵1個は1日の必要量の60%に相当します。


お腹にやさしい飲み方

ところで、牛乳を飲まない理由として、お腹が痛くなることを挙げる人がいます。これに関しては、体内に牛乳の消化酵素が足りないことが原因との見方があります。牛乳に含まれている「乳糖」という成分を、グルコースとガラクトースに分解する酵素(ラクターゼ)が足りず、お腹に変調をきたすケースがあります。


ただ、現状は酵素が足りないという理由が、強調され過ぎているように見受けられます。というのも、大規模な調査(※)によれば、牛乳を大量(実験では1度に1.2ℓ)に飲まない限り、牛乳を飲んでお腹に不調をきたす人の割合は、それほど多くはないことが分かっているからです。

※ 一般社団法人Jミルクホームページより


実は、大学の畜産研究者にこの件についてうかがうと、牛乳を飲んでお腹に変調をきたす理由は主に、牛乳を冷やして飲むことが影響しているとの回答でした。特に、学校給食などでも良くみられますが、鮮度を保つために相当冷やした状態で牛乳が提供されるため、それがお腹に影響する場合が多いとのことでした。したがって、牛乳を少しずつ飲んでみたり、常温近くに戻したり、あるいは少し温めて飲んだりすれば、その影響が抑えられるとのことでした。


牛乳には、良質なタンパク質やカルシウムなど栄養が豊富です。特に、グラスフェッドミルク(牧草と放牧で育てた牛のミルク)には、ビタミンA、ビタミンEやαリノレン酸(オメガ3)などの貴重な栄養素が含まれています。美容や骨粗鬆症の予防と言う観点で、働き盛り年齢層の方にもお勧めしたい飲み物です。






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