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持続可能なグラスフェッド

グラスフェッドミルクが支持される理由は、すっきりとした美味しさや豊富な栄養素にとどまらず、それが持続可能な農業(酪農)につながるからです。


             (萩原牧場2022年初夏)


草を食料に変える酪農システム

牧草で牛を育てるグラスフェッド酪農は、「人間が食べられない草」を人間の食料に変換するシステムです。牛が牧草を食べてミルクを生産してくれることは、言い換えれば「草」を人間が必要な栄養素(たんぱく質や各種ビタミン、オメガ3など)に変えてくれているのです。


一方、穀物飼料により牛を育てる一般的な酪農(グレインフェッド酪農)は、人間の食料である穀物を牛に与えるために、ミルクを作ればその分だけ人間の食料が消費される格好となります。したがって、この方法でミルクを生産しても食料全体は増えず、世界的な課題となっている食料不足の解決策にはなりえません。


世界的な食料不足への懸念

実は、食料不足について国際連合(国連)は危機感を募らせており、SDGsの目標2として、「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」を掲げ、飢餓問題の解決を世界に呼び掛けています(※)。


その背景には、2020年に世界で飢餓に直面している人が前年比1.18億人も急増し、7.2億人~8.11億人に達している現状があります。適切な食事(必要な栄養素を満たす食事)にアクセスできない人も、前年比3.2億人増の23.7億人(世界人口の3人に1人)に上ります(※)。

※国連機関が作成した『世界の食糧安全保障と栄養の現状(The State of Food Security and Nutrition in the World)』の2021年版より。


食料不足や不足養不良の主な要因は、人口増加、気候変動、経済危機(コロナ禍で一段と悪化)、国際紛争などであり、これらは今後も続くと考えられています。実際、昨年は温暖化による渇水(水不足)により穀物生産に大きな被害が出る国がありました。また、中国など途上国の所得向上により、牛肉や豚肉の需要が高まることも、その餌となる穀物の価格を上昇させる要因となっています。


食料安定供給のカギとなるグラスフェッド

その結果、世界で穀物価格の上昇が続いています。特にウクライナ紛争が価格上昇に拍車をかけました。


米国の商品先物市場では、トウモロコシの先物価格が、今年の7月末は前年同月比14%の上昇し、5年前(2017年7月末)からは61%も大幅上昇しています。同様に、7月の小麦は前年同月比15%高で、5年前から70%上昇しています。また、7月の大豆は前年同月比9%上昇で、5年前と比較し47%高ですので、穀物価格が長期的に上昇傾向にあることは確かです。

 

このような食料を取り巻く世界情勢を見ると、食料の安定供給という観点でも、「草」を餌として育てる牛のミルク(グラスフェッドミルク)への注目度は一段と高まるでしょう。特に、国内の牧場の草で育てるグラスフェッド酪農は、穀物価格上昇の影響を受けず、さらに円安や原油高(飼料の輸送コスト高)による輸入飼料の上昇の影響も受けません。それはまさに、SDGs目標2が求める「持続可能な農業」につながります。


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