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ミルクとダイエット

「牛乳は太る」というイメージを持つ人が少なくないようですが、科学的にはむしろ太らない方向に役立つようです。



血糖値の上昇スピードが健康のキモ

 体に脂肪が着きやすい原因の一つが血糖値の急上昇です。ご飯やパンを食べると、その炭水化物は消化吸収されてブドウ糖に変わり筋肉を動かすエネルギーになる一方、余分なブドウ糖はすい臓から分泌されるインスリンの働きにより、肝臓や筋肉などでグリコーゲンに変換されて細胞に貯蓄されます。同時にインスリンは脂肪の合成を高め、また脂肪の分解を抑制する作用があります。特に、急激に血糖値が上がってインスリンが過剰に分泌されると、ブドウ糖が中性脂肪となるために太りやすくなるのです。


 さらに、食後に血糖値が急上昇する状況が続くと、糖尿病や動脈硬化症(心筋梗塞、脳梗塞)につながる懸念があると報告されています。そのため、食事での血糖値の上昇スピードを押さえることがダイエットのためにも、心疾患を防ぐうえでも重要です。



GI値で分かる血糖値に対する食品の影響

 食後に血糖値が急上昇することを押さえようとする際に、役立つツールがGI値という指標です。これは、食品ごとの血糖値の上昇度合いを示します。

 GI値はグリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略語で、「食後血糖上昇指数」とも言われます。ブドウ糖を摂取した後の血糖上昇率を100として、それを基準に食品ごとの血糖上昇率をパーセントで表します。GI値が高い食品は食後の血糖値が大きく上がり、GI値が低い食品は血糖値の上がり方が穏やかです。

 以下は、それぞれのGI値におおむね該当する食品を示しています。


GI値が70以上は高GI食品、56~69が中GI食品、55以下が低GI食品と分類されます。GI値が55以下の果物、野菜、豆類、全粒穀類などは血糖値の上昇が緩やかな食品として注目されています。なかでも牛乳やヨーグルトなどの乳製品は、低いGI値の食品群に分類されています。言い換えれば、牛乳やヨーグルトは食後の血糖値上昇が穏やかであるため、脂肪に変換されにくい食品と言えます。



「ファーストミール」が重要

 ところで、朝食でシリアルに加えて、「牛乳」を飲んだ場合と「水」を飲んだ場合を比較した結果、牛乳を飲んだ場合の方が食後の血糖値の上昇が抑えられるとの報告があります(カナダのゲルフ大学とトロント大学の研究グループによる)。牛乳に含まれる「カゼイン」や「ホエイプロテイン(乳清タンパク質)」などのタンパク質を摂取することで、炭水化物の吸収が遅くなるそうです。


 さらに、GI値の低い朝食をとると、昼食後も血糖値の上昇が抑えられる傾向があるとの報告もあります。これは、「セカンドミール効果」という見解(トロント大学)で、1日の最初の食事(ファーストミール)が、次の食事(セカンドミール)の後の血糖値にも影響を与えるというものです。朝食で血糖値の急上昇を招いてしまうと、一日を通して血糖値が不安定な状態になりやすいためのようです。逆にファーストミールで血糖値の急上昇を招かなければ、セカンドミール後の血糖値上昇を抑える可能性が高まるはずです。


 そうだとすると、ファーストミールとして最適なのが、糖質の吸収を緩やかにする性質を持つ低GI食品。中でも手軽にとれるのが、ミルクやヨーグルトなどの乳製品です。ちなみに、ご飯食の場合も最初に乳製品をとると、先ほどのシリアルの例と同様に食後の血糖値の上昇が抑えられることが期待されます。




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