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健康寿命とミルク

高齢化社会の日本において健康寿命の重要性が意識されるなか、ミルクは健康寿命を維持するために適した食品として改めて注目されています。



骨粗しょう症予防にミルク

健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されずに生活できる期間(※1)」であり、世界保健機関(WHO)が 2000 年に提唱した概念です。人の手を借りずに自分らしく楽しく日常生活できる日々と言い換えて良いかもしれません。

 ※1厚生労働省e-ヘルスネット「平均寿命と健康寿命」より


そうした健康寿命に対する障害として、骨粗しょう症や歯周病、筋力低下や内臓疾患などが挙げられるものの、前2者についてはミルクを飲むことが有力な対策として注目されています。


まず、骨粗しょう症は骨強度(骨の強さ)が低下して、骨折しやすい状態になることです。その予防・治療の観点では、カルシウムを1日700~800mg摂取することが必要と言われています。コップ1杯(200g)のミルクには約220mgのカルシウムが含まれているので、それだけで必要量の4分の1が摂取できます。また、ヨーグルト(100g)には120mg、プロセスチーズには126mgのカルシウムが含まれています(※2)。

※2農林水産省HPより



毎日飲んでも飽きない牛乳や食べやすいヨーグルトをベースに、豆腐や小魚、小松菜、ヒジキなど、比較的カルシウムが多く含まれる食品を食事の中で意識的に取り入れることで、必要なカルシウム量が摂取できるはずです。また、ブレイクタイムには、コーヒーに同量のミルクを加えてカフェオレにしたり、紅茶に多めのミルクを入れてミルクティーにして飲むことも、健康寿命を延ばすための工夫の一つになるでしょう。


歯周病予防にもミルク

次に、歯周病の予防に関しても、ミルクや乳製品に含まれるカルシウムに効果があると報告されています。歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患で、歯の周りの歯ぐき(歯肉)や、歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。


現在では歯周病は予防や治療が可能と言われており、正常な状態から歯石がたまるまでの間に治療すれば元にもどるとのこと。具体的には、歯磨きを正しい方法で毎日行うことや、歯科医師・歯科衛生士による専門的なクリーニングなどのメンテナンスを定期的に受けることが効果的であるとされています。


ちなみに、日本では歯が痛くならないと行かない歯科医に、欧米では歯周病予防のために定期的に通う人が多いようです。その結果、たとえばアメリカでは70歳で歯が平均17本残っているのに対して、日本では平均8本にとどまるとの報告もあります。歯の問題で食事が難しくなれば、栄養が十分取れなかったり片寄ったりするため体調維持が難しくなりますので、健康寿命にとって歯の健康は重要です。


実は、歯の健康に食事でとる栄養も大きく関係しています。米国の大規模調査で、カルシウムの摂取量が増えると歯周病が減り、逆にカルシウムの摂取量が低いと歯周病になるリスクが高まるという結果が得られたそうです。とりわけカルシウムの摂取が低い人では、歯周病の発症率が2倍近くに上昇していました。


さらに、米国で乳製品の摂取量に関して、歯周病の発症率との関係を調べた大規模調査があり、両者に負の相関(乳製品の摂取量が多い⇒歯周病の発症率が低い)があると報告されています。したがって、歯周病予防の観点でもカルシウムの摂取が重要であり、特に乳製品をとることが有効ということになるでしょう。


ちなみに、国民1人当たりの飲用乳の消費量が日本の31.1㎏に対して、米国はその2倍の63.8㎏であることも(※3)、高齢者における日米の歯の状況(70歳で残っている歯が日本人の8本に対して、米国人はその2倍の17本)に反映されているかもしれません。

 ※3:一般社団法人Jミルク資料のデータ(2019年)より


もともと歯を骨の一部と考えれば、骨粗しょう症の予防に寄与するカルシウム摂取が、歯の健康維持にも役立つというのは理解が容易です。ただ、同じカルシウムを摂取するのならば、乳製品がベターです。先述の乳製品の摂取と歯周病の関係(負の相関)に加えて、ここでは詳述しませんでしたが、牛乳に含まれるリンタンパクの一種である「カゼイン」が歯の再石灰化を促進するとの報告があるためです。

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