バター不足はなぜ繰り返し起きるのか
更新日:8月20日
スーパーの棚からバターが消えるのは、バターが余った牛乳の受け皿だからです。牛乳が足りない時期には、真っ先にバターの製造が止まります。私たちが毎日生乳の行き先を決める中で、なぜバターが後回しになるのか、その仕組みをお伝えします。
牛乳が足りない時期にバターの製造が止まる
牛乳とバターは、同じ一つの生乳から作られます。酪農家が搾った生乳は、工場に運ばれた後、まずそのまま飲むための牛乳として優先的にパック詰めされます。日持ちしない牛乳を新鮮なうちに確実に届けるためです。牛乳の需要を満たしてなお生乳が余ったときだけ、日持ちするバターやチーズに加工されます。バターは作りたいから作るのではなく、余った生乳を無駄にしないための保存食として作られてきました。
夏の暑さで牛の食欲が落ちて乳量が減ったり、学校給食が始まって牛乳がたくさん飲まれたりすると、生乳の余りがなくなります。余りが出なければ、バターを作るための原料そのものが手に入りません。結果として、スーパーの棚からバターの箱が消えることになります。私たちが生乳の行き先を振り分ける現場でも、牛乳パックの注文をすべて満たしてから、残りのタンクの目盛りを見てバターの製造計画を立てます。牛乳がよく売れる日は、バターのラインを動かすことができません。生乳の受け皿という役割がある以上、バターの供給は常に牛乳の売れ行きに左右されます。
バターを作るには大量の生乳が必要になる
バターの製造が後回しになるもう一つの理由は、必要な原料の多さです。バター1キログラムを作るには生乳が約20から23キログラム必要とされます。私たちが目にする200グラムのバターの箱一つを作るのに、約4リットルの生乳を使います。牛乳パック4本分から水分を抜き、脂肪分だけをかき集めて、ようやくひとかたまりのバターが生まれます。
生乳が少ししか余っていない日には、必要な脂肪分が集まりません。バターを作る機械の底に届くほどの量にならなければ、製造そのものを見送ることになります。限られた生乳をどう振り分けるか、作り手は常に選択を迫られます。少ない生乳でも作れる別の乳製品に回すか、次の日まで生乳を貯めておくか。バターの製造は、豊かな原料があって初めて成り立つ贅沢な工程です。生乳の余りが少ない時期に、大量の原料を飲み込むバターを作ることは不可能です。なぜバターばかりが足りなくなるのか、その答えはこの圧倒的な原料の比率にあります。
日本の牛の食事は海外の天候に左右される
生乳の生産量が急に減る背景には、牛の食事の事情があります。日本の飼料自給率は26パーセントで、濃厚飼料の約87パーセントは輸入に頼っています。海外で干ばつが起きて穀物が育たなかったり、輸送の船が港で遅れたりすると、牛に十分な食事を届けられなくなります。
日本の酪農は牛舎で飼う「舎飼い」が約9割を占めるとされ、海外から届くエサの安定が乳の量に直結します。エサが足りずに生乳が減れば、やはり真っ先に削られるのはバターの製造です。朝のトーストに塗るバターの安定は、遠い海の向こうの天候や物流の順調さに支えられています。輸入のエサに頼る構造がある限り、国内の生乳の量は常に揺れ動きます。その波を一番下で受け止めているのがバターという製品です。私たちの食卓の風景は、世界中の畑とつながっています。
季節による乳脂肪分の変化が製造量を左右する
バター不足のニュースは、決まって秋から冬にかけて増えます。これには、牛の体のリズムが関係しています。春から夏にかけて、牛は暑さで体力を奪われ、乳量が落ちる時期です。秋になり涼しくなると乳量が増え、乳脂肪分も高くなります。冬に向けて乳脂肪分が乗ってくると、脂肪の塊であるバターを作りやすくなります。
しかし、秋は学校給食が本格化し、飲むための牛乳の需要が一年で最も高まる季節でもあります。乳脂肪分が豊かで本来ならバターに向く生乳が、すべて牛乳として飲み干されてしまいます。バターを作るのに最適な季節に、バターに回す生乳が一番少なくなるという構造があります。需要と供給のすれ違いが、バター不足をさらに深刻にします。冷蔵庫を開けてバターの残りを気にするとき、牛たちの季節の移ろいも一緒に進んでいます。
グラスフェッドバターなら季節の変化をそのまま味わえる
限られた原料で作られるバターには、季節の風景がそのまま記録されています。私たちが北海道西興部村で作るグラスフェッドバターは、牛が食べる草の変化で味がはっきりと変わるのが特徴です。夏は青草の香りが立ち、すっきり軽やかで、色は黄色みを帯びます。冬は貯蔵草を食べるため、色は白に近づき、草の香りは穏やかになります。その分、乳脂肪が乗ってコクが増し、濃厚になります。
お客様からは「軽さに驚く」「あっさりしている」という声をいただきます。グラスフェッドミルクはすっきりとして後味が軽く、ミルクの甘みが残ります。季節ごとの味の違いを楽しめるのは、自然の中で草を食む牛から搾った生乳を使っているからです。売り場でバターを見かけたときは、今の季節の牛が何を食べているか、少しだけ想像してみてください。
よくある質問
Q. バターが品薄のとき、代わりに何を使えばいいですか パンに塗るならクリームチーズ、料理のコク出しなら生クリームが手に入りやすい選択肢です。どちらもバターと同じ生乳から作られるため、似た風味を補うことができます。
Q. 品薄になる前に冷凍保存してもいいですか バターは冷凍保存が可能です。においが移りやすいため、箱から出してラップでしっかりと包み、さらに密閉袋に入れて冷凍庫の奥にしまいます。使うときは冷蔵庫に移してゆっくり解凍します。
Q. 国産のグラスフェッドバターはスーパーで買えますか 一部の高級スーパーや自然食品店に並ぶことがありますが、生産量が少ないため通信販売が確実です。当社を含め、牧場やメーカーの直営サイトから直接取り寄せる形が主流です。
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この記事はミルクデザイン株式会社が作成しています。北海道紋別郡西興部村で、萩原牧場のグラスフェッド生乳から牛乳・ヨーグルト・バター・チーズ・アイスクリーム・ソフトクリームを製造しています。


