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牛乳が苦手でも、乳製品は別?

  • 3 日前
  • 読了時間: 4分

更新日:19 時間前

「牛乳でお腹を壊す=乳製品は体質的に無理」——実はこれ、科学的には正確ではありません。カギは"乳糖の量"。では、どのくらいなら平気なのでしょうか。

牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする。だから自分は乳製品が合わない——そう考えて、ヨーグルトもチーズも避けていませんか。この「牛乳が苦手=乳製品はすべてダメ」という思い込みは、しなくてよい我慢を生んでいるかもしれません。

先に結論から言います。乳糖不耐は「あるか・ないか」の二択ではなく、"どのくらいの量か"の問題です。複数の研究を統合した系統的レビューでは、乳糖12〜15g——牛乳およそコップ1杯分——は、乳糖不耐とされる多くの成人でも大きな症状なく摂れると報告されています(中等度の確実性)[2]。「一滴でもダメ」ではなく「量しだい」。ここを取り違えると、避けなくてよいものまで遠ざけてしまいます。



なぜお腹がゴロゴロするのか

そもそも不調の正体は、乳に含まれる「乳糖」という糖です。これを分解する酵素ラクターゼは小腸で働きますが、多くの人は大人になるとその活性が下がります(東アジア系ではとくに多いことが知られています)。分解しきれなかった乳糖が大腸に届き、腸内細菌に発酵されてガスや張り、下り腹を起こす——これが基本的な仕組みです。

ここで大切なのは、症状の出やすさが「乳糖の量・残っている酵素の働き・腸内細菌・腸の敏感さ」の組み合わせで決まるという点です[1]。だから"平気な量"には大きな個人差があり、コーヒーに少しのミルクは平気でも、コップ1杯の牛乳はつらい、という差が生まれます。そもそも大人になってラクターゼが下がること自体は、世界的にはむしろ多数派で、病気ではありません。さらに、少量から続けて摂るうちに腸内細菌がその状態に慣れ、症状が和らいでいく場合があることも報告されています[1]。

そして、逃げ道もあります。発酵や熟成によって、乳糖そのものが減っていくのです。目安の序列は、牛乳(乳糖はほぼそのまま)→ ヨーグルト(発酵で乳糖が減り、さらに生きた乳酸菌が腸での消化を助けます[5])→ 熟成の進んだチーズやバター(乳糖はごくわずか)[1]。「発酵させれば乳糖はゼロになる?」と聞かれれば答えはノーですが、量が十分に減れば、あなたの"平気な量"を下回りやすくなります。

では、"適量なら平気"はどれくらい確かなのでしょうか。自分を「重度」と考える乳糖不耐の人でも、牛乳240mLと乳糖ゼロの牛乳とで症状に差が出なかった、というランダム化試験があります[3]。さらに1日2杯を食事とともに分けて摂っても、症状は増えませんでした[4]。ただしこれは「いくらでも飲んでよい」という意味ではありません。量が閾値を超えれば誰でも症状は出ますし、体質による幅も大きく[1]、ここはまだ一律には言えない領域です。確かなのは「全か無かではなく、量の問題」という枠組みのほうです[2]。

なお、混同されがちですが、乳糖不耐は"乳アレルギー"とは別ものです。乳糖不耐は糖をうまく消化できないだけなのに対し、乳アレルギーは乳タンパクに対する免疫の反応で、仕組みも対処も異なります。自分の不調がどちらなのか——あるいは乳とは別の原因なのか——を切り分けて考えることも大切です。実際、症状を"重い"と感じている人でも、その一部は乳糖以外の要因によることが示されています[3]。



では、どうすればいい?

ですから、いきなり乳製品をすべてやめる必要はありません。試す価値があるのは次の3つです。①一度に大量に飲まない(まずはコップ1杯を目安に)。②空腹時を避け、食事と一緒に摂る。③牛乳が合わなければ、ヨーグルトや熟成チーズから試す。

とくに成長期のお子さんや高齢のご家族では、乳製品を丸ごと断つとカルシウムなどが不足しがちなため、"ゼロにする"より"合う量と種類を選ぶ"ほうが理にかなっています。食卓で言える一言はこうです——「牛乳が苦手でも、乳製品ぜんぶを諦めなくていい」。



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出典

  1. Misselwitz B, Butter M, Verbeke K, Fox MR. Update on lactose malabsorption and intolerance: pathogenesis, diagnosis and clinical management. Gut. 2019;68(11):2080–2091. doi:10.1136/gutjnl-2019-318404(PMID: 31427404)

  2. Shaukat A, Levitt MD, Taylor BC, et al. Systematic review: effective management strategies for lactose intolerance. Ann Intern Med. 2010;152(12):797–803. doi:10.7326/0003-4819-152-12-201006150-00241(PMID: 20404262)

  3. Suarez FL, Savaiano DA, Levitt MD. A comparison of symptoms after the consumption of milk or lactose-hydrolyzed milk by people with self-reported severe lactose intolerance. N Engl J Med. 1995;333(1):1–4. doi:10.1056/NEJM199507063330101(PMID: 7776987)

  4. Suarez FL, Savaiano D, Arbisi P, Levitt MD. Tolerance to the daily ingestion of two cups of milk by individuals claiming lactose intolerance. Am J Clin Nutr. 1997;65(5):1502–1506. doi:10.1093/ajcn/65.5.1502(PMID: 9129483)

  5. EFSA Panel on Dietetic Products, Nutrition and Allergies (NDA). Scientific Opinion on the substantiation of health claims related to live yoghurt cultures and improved lactose digestion (ID 1143, 2976). EFSA Journal. 2010;8(10):1763. doi:10.2903/j.efsa.2010.1763


この記事はミルクデザイン株式会社が作成しています。北海道紋別郡西興部村で、萩原牧場のグラスフェッド生乳から牛乳・ヨーグルト・バター・チーズを製造しています。

 
 
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