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グラスフェッドバターは、火を入れない場面でこそ持ち味が出ます

8月17日
読了時間: 10分

更新日:8月20日

グラスフェッドバターの使い方に迷ったら、まずは火を入れずにそのまま味わいます。牧草由来の青草の香りや、すっきりとして後味が軽い風味の個性は熱に弱いからです。高いグラスフェッドバターをフライパンの炒め物に溶かすと、いちばん高く買った部分から先に飛んでしまいます。



グラスフェッドバターの個性は熱に弱い性質を持っています


グラスフェッドミルクから作るバターは、すっきりとして後味が軽く、ミルクの甘みが残ります。青草をたっぷり食べて育つ牛の乳には、牧草由来の繊細な香りが溶け込んでいます。この香りの成分は非常に揮発しやすく、少しでも温度が上がると空気中へと放たれてしまいます。熱したフライパンにバターの塊を落とすと、一瞬で溶けて泡立ちますが、その瞬間にグラスフェッド特有の香りの大部分は蒸発しています。

スーパーの棚に並ぶ普通のバターよりも高いお金を出してグラスフェッドバターを選ぶ理由は、この特有の風味にあります。それなのに、強火にかけたフライパンに落としてジュワッと溶かしてしまうと、いちばん高く買った「グラスフェッドならではの香り」を換気扇に吸い込ませることになります。これは、せっかくの価値を自ら手放しているのと同じです。

加熱調理には普通のバターか、あるいは後述するギーで十分足ります。グラスフェッドバターが持つすっきりとした軽さや、ミルクの甘みを楽しむためには、火を入れない場面を選ぶことが基本の扱い方になります。バターを溶かす温度をコントロールすることで、食卓でのバターの立ち位置は大きく変わります。料理の土台としてフライパンの底に敷く油として使うのではなく、料理の輪郭を仕上げる調味料として捉え直すところから始めます。



温度帯別に見るグラスフェッドバターの向き不向き


グラスフェッドバターの風味を最大限に引き出すには、バターが口の中で溶ける温度を意識します。冷蔵庫から出したての冷たく固い状態、室温に置いて柔らかくなった状態、そして温かい料理の上で溶けかける状態で、舌が感じる風味は全く異なります。

温度帯

バターの状態

味わいの特徴と適した使い方

5度前後(冷蔵)

固く冷たい

香りは控えめ。薄く削ってパンに乗せ、口の温度で溶かす

15度前後(室温)

スプーンで掬える

香りが開き始める。パンに塗り広げやすく、ミルクの甘みを感じる

40度前後(余熱)

じんわり溶ける

香りが最も立つ。温野菜やステーキの上に食べる直前に乗せる

100度以上(直火)

焦げ始める

香りが飛び、乳固形分が焦げる。グラスフェッドの良さが消える

生食、つまりトーストに塗ったり料理の仕上げに乗せたりする使い道が第一の選択肢になります。短鎖・中鎖脂肪酸は消化吸収が速いことが栄養学で知られています。グラスフェッドバターを口に入れたときにサッと溶けて消えるような軽さは、この脂肪酸の性質が関わっています。熱を加えずにそのまま食べることで、この口溶けの良さを最もはっきりと確かめられます。

冷たいまま口に入れて自分の体温で溶かすか、料理の余熱を利用してじんわりと溶かすか。この温度の境界線に、グラスフェッドバターを美味しく味わう鍵があります。温度が上がるにつれて香りは強く立ち上りますが、一定の温度を超えて火が入るとすべて飛んでしまいます。どの温度帯で食べるかを決めるのは、台所に立つ人のさじ加減ひとつです。一番美味しい瞬間を逃さないためには、食べる直前に冷蔵庫から出す動作が理にかなっています。



毎日の食卓にグラスフェッドバターを乗せる3つの場面


具体的な使い方を、毎日の食卓の情景に当てはめてみます。特別なフランス料理や手間のかかるお菓子作りを用意する必要はありません。いつもの食事の最後に、グラスフェッドバターを添えるだけで完結します。

一つ目は、朝のトーストに厚めに乗せてかじりつく場面です。こんがりと焼けたトーストをお皿に乗せ、冷蔵庫から出したばかりの冷たいグラスフェッドバターを厚めにスライスして乗せます。パンの熱でバターの底の部分だけがじんわりと溶け出しますが、上の部分はまだ冷たく固いままです。そのまま口に運ぶと、温かいパンと冷たいバターの温度差が生まれます。噛むごとに口の中でバターが溶け、青草の香りが鼻を抜けていきます。バターをパンの端から端まで薄く塗り広げるのではなく、塊のまま乗せて食べることで、すっきりとした軽さに驚くはずです。

二つ目は、茹でたての温野菜やじゃがいもに、食べる直前に乗せる場面です。鍋で茹で上がったブロッコリーやアスパラガスをお皿に盛り付け、その上にグラスフェッドバターをひとかけら落とします。野菜の熱でバターが溶け出し、水蒸気とともに香りが立ち上ります。フライパンで一緒に炒めるのとは違い、香りが飛ぶ前に口に運ぶことができます。塩を少し振るだけで、野菜の甘みとミルクの甘みが重なり合い、味が際立ちます。

三つ目は、朝のコーヒーに落として混ぜる場面です。淹れたてのブラックコーヒーが入ったマグカップに、スプーン一杯のグラスフェッドバターを落とします。コーヒーの熱でバターがすぐに溶け、表面に薄い油膜が張ります。スプーンでよくかき混ぜてから一口飲むと、コーヒーの苦味の角が取れ、まろやかなミルクの風味が口いっぱいに広がります。グラスフェッドバターは後味が軽いため、飲み終わった後に口の中にしつこい脂っぽさが残りません。

いつもの食卓の景色の中で、バターを乗せるタイミングを一番最後にずらすだけで、グラスフェッドの持ち味が活きてきます。明日の朝、どの場面から試してみますか。



焦げやすさは乳固形分によるものです


バターをフライパンで加熱したときに何が起きているのかを分解してみます。乳等省令では、バターは乳脂肪分80.0パーセント以上・水分17.0パーセント以下・大腸菌群陰性と定められています。この基準から計算すると、残りの数パーセントはタンパク質や乳糖などの乳固形分で構成されていることがわかります。

フライパンにバターを落として火にかけると、まずパチパチと音を立てて水分が蒸発します。水分が飛び終わると、今度は残った乳固形分が熱に反応して茶色く色づき始めます。これがバターが焦げる仕組みです。グラスフェッドバターであっても普通のバターであっても、この乳固形分が含まれている以上、高温の加熱には向きません。

強火で肉を焼いたり、野菜を炒めたりする場面でバターを使うと、食材の中まで火が通る前にバターの乳固形分が焦げて苦味が出てしまいます。同時に、グラスフェッドバター特有のすっきりとした香りも熱で破壊されます。フライパンの上で起きるこの成分の変化を知ると、高いバターを加熱調理に使うことがもったいないと感じるようになります。熱の入る料理には、別の選択肢を用意します。焦げを防ぐための油の使い分けは、台所ですぐに実行できます。



高温調理にはバターを精製したギーを使います


火を使う料理には、バターではなくギーを合わせます。ギーはバターを加熱して水分と乳固形分を取り除いた純度の高い乳脂肪です。乳固形分が無いぶん焦げにくく、高温調理に向きます。

調理の場面

適した油分

理由

トーストに乗せる

グラスフェッドバター

熱を加えないため、香りとミルクの甘みをそのまま味わえる

温野菜の仕上げ

グラスフェッドバター

余熱で溶ける瞬間の香りを逃さず楽しめる

フライパンで肉を焼く

ギー

乳固形分がないため、強火でも焦げ付かない

野菜のソテー

ギー

高温で熱しても煙が出にくく、食材に火をしっかり通せる

ギーはバターから不純物を取り除いているため、フライパンに引いて強火にかけても焦げ付きません。ステーキ肉の表面をカリッと焼き上げたいときや、野菜の水分を飛ばして強火で炒めたいときにはギーの出番です。ギーの製造工程では、バターをじっくりと煮詰めていく過程で独特の香ばしさが生まれます。この香ばしさは、肉や野菜の旨味を引き上げる働きをします。

炒め油としてギーを使い、お皿に盛り付けた後の香り付けとしてグラスフェッドバターを乗せる。このように役割を分けることで、調理の失敗を防ぎながら、グラスフェッドの風味も余さず楽しむことができます。油の性質に合わせて使い分けることが、台所での合理的な選択になります。今日の夕食の準備から、フライパンに落とす油を見直してみます。



季節で変わる風味の軸に合わせて使い方を変えます


グラスフェッドバターは、牛が食べる草の季節によって味が変わります。色、草の香り、コクはそれぞれ別の軸で動きます。この季節ごとの変化に合わせて、食卓での使い方を少しだけ変えてみます。

夏の青草の時期は、青草の香りが立ち、すっきり軽やかです。ベータカロテンは脂溶性のため、牧草由来のものが乳脂肪に移り、バターの黄色みとして現れます。この時期のバターは、あっさりしているという反応がよく聞かれます。軽さを活かして、そのまま薄くスライスしてクラッカーに乗せたり、冷たいままトーストに乗せてかじったりする食べ方が合います。黄色く鮮やかな色は、食卓の見た目も引き立てます。

冬の貯蔵草の時期は、乳脂肪が乗ってコクが増し、濃厚になります。色は白に近づき、草の香りは穏やかになります。この時期のバターは、ミルクの甘みと深みが増しているため、温かい料理の余熱で溶かしてコクを足す使い方が向いています。茹でたじゃがいもに乗せたり、温かいスープに少し落としたりすると、料理全体の味がまとまります。

グラスフェッドバターは工業製品のように一年中同じ味ではありません。生い茂る青草を食む夏と、貯蔵した乾草やサイレージを食べる冬。このエサの違いがそのまま乳質の違いとなって現れます。季節の移り変わりがそのままバターの風味に現れます。今の時期のバターがどんな色をして、どんな香りがするのか。それを確かめるために、今日もまた冷蔵庫を開けてバターナイフを手に取ります。



よくある質問


Q. グラスフェッドバターはどんな味がしますか

すっきりとして後味が軽く、ミルクの甘みが残ります。夏は青草の香りが立ち、冬は乳脂肪が乗ってコクが増します。市販のバターに比べてあっさりしていると感じる方が多いです。


Q. なぜ夏と冬で色が違うのですか

牛が食べる草に含まれるベータカロテンの量が季節で違うからです。ベータカロテンは脂溶性のため、夏の青草由来のものが乳脂肪に移り、バターの黄色みとして現れます。冬の貯蔵草の時期は色が白に近づきます。


Q. 炒め物に使ってはいけませんか

使ってはいけないという決まりはありませんが、グラスフェッド特有の香りが熱で飛んでしまいます。また、乳固形分が含まれているため高温にすると焦げます。炒め物には普通のバターかギーを使い、グラスフェッドバターは火から下ろした後の香り付けに使うことをお勧めします。


Q. 普通のバターとの一番の違いは何ですか

牛が食べているエサの違いによる、風味の軽さです。グラスフェッドミルクから作るバターは、口の中でサッと溶け、しつこい脂っぽさが残りません。


Q. コーヒーに入れるときのコツはありますか

熱いコーヒーにバターを落としたら、よくかき混ぜて乳化させます。コーヒーの苦味がまろやかになり、ミルクの甘みが引き立ちます。塩分の入っていない無塩バターを選ぶと、コーヒーの味を邪魔しません。


Q. 賞味期限内に使い切れないときはどうすればいいですか

使いやすい大きさにカットして、空気に触れないようにラップで包み、冷凍庫で保存します。使う分だけ冷蔵庫に移して解凍すれば、風味の劣化を抑えられます。



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この記事はミルクデザイン株式会社が作成しています。北海道紋別郡西興部村で、萩原牧場のグラスフェッド生乳から牛乳・ヨーグルト・バター・チーズ・アイスクリーム・ソフトクリームを製造しています。

 
 
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