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A2ミルクのヨーグルト

  • 8月18日
  • 読了時間: 7分

更新日:8月20日

A2ミルクのヨーグルトは、柔らかくクリーミーな仕上がりになる可能性が指摘されています。一方で、お腹への優しさを期待してヨーグルトを選ぶなら、不調の原因が糖なのかたんぱく質なのかを見極める必要があります。発酵という工程は糖を減らしますが、たんぱく質の型は動かさないからです。お腹の不調の原因が乳糖にあるなら、スーパーに並ぶ一般的なヨーグルトでも効果は得られます。



A2ミルクで作るヨーグルトは柔らかく仕上がる


A2型の乳で作ったヨーグルトは、弾力という硬さの指標が低くなるという報告があります。顕微鏡で覗くと、より多孔質でたんぱく質鎖が細い微細構造になっています。ここから、A2ミルクは柔らかくクリーミーなヨーグルトの製造に向く可能性が考えられます。逆に、ゲル強度が高く安定した硬さのあるヨーグルトには向かない可能性があります。

たんぱく質の型の違いが、発酵したときの固まり方に影響を与えています。「A2ミルク」とは、ベータカゼインというたんぱく質の遺伝子がA2A2型の牛だけから搾った乳を指す慣用的な呼称です。ベータカゼインは209個のアミノ酸が繋がってできています。その端から数えて67番目がプロリンというアミノ酸ならA2型になります。ここがヒスチジンという別のアミノ酸に置き換わっているのがA1型です。

牛乳のたんぱく質は、胃に入ると胃酸の働きで凝集し、ヨーグルト状の塊になります。この塊はカードと呼ばれます。胃の中で固まるため消化に悪いと誤解されることがありますが、実際は逆です。いったん胃に留まり、ゆっくりと消化酵素の働きを受けるため、固まるからこそ消化が良くなります。

たんぱく質の消化は胃から始まります。胃酸によってペプシノーゲンがペプシンに変わり、強い酸性の環境下でたんぱく質の内部の結合を切って短い鎖にします。十二指腸や小腸に進むと、膵臓から分泌されるトリプシンなどの酵素がさらに内部の結合を切っていきます。最終的にアミノ酸や短いオリゴペプチドとなって体に吸収されます。この一連の過程において、わずかなアミノ酸の配列の違いが、製品の質感に変化をもたらします。



発酵は乳糖を減らすが、たんぱく質の型は変えない


牛乳でお腹がゴロゴロする原因は、大きく分けて二つあります。一つは乳糖という糖をうまく消化できない状態です。もう一つは、たんぱく質が原因で起こる不調です。

ヨーグルトを作る発酵の過程では、乳酸菌が乳糖を食べて乳酸に変えます。そのため、ヨーグルトは牛乳よりも乳糖が少なくなります。乳糖が苦手な人にとって、冷蔵庫にあるヨーグルトは牛乳よりお腹に優しい食品になります。朝のトーストに合わせる飲み物を牛乳からヨーグルトに変えるだけで、お腹の調子が落ち着く人は少なくありません。

しかし、発酵はたんぱく質の型を変えません。A1型のたんぱく質は、ヨーグルトになってもA1型のままです。もしお腹の不調の原因がA1型のたんぱく質にあるなら、それをヨーグルトに加工しても問題は解決しません。A2ミルクのヨーグルトに意味があるのは、乳糖ではなく、たんぱく質に反応してしまう人です。



不調の原因が乳糖ならヨーグルトを選ぶ


牛乳で不調を感じる人は、すべて同じ原因を抱えているわけではありません。2025年にフィンランドで行われた試験では、牛乳で不調を訴える36人を対象に、飲む乳製品の種類を変えて症状を比較しました。

乳糖をうまく消化できない人たちでは、乳糖の量が増えるほど症状が増えることが確認されました。この試験の結論は、乳糖を除きさらにたんぱく質を分解済みの通常乳は、乳糖を消化できる人ではA2ミルクと同等に、乳糖が苦手な人ではA2ミルクよりよく耐えられたというものです。乳糖を除いた牛乳と比べたとき、A2ミルクが優れるという結果は出ませんでした。

2020年にアメリカで行われた別の試験でも、自分では乳製品に弱いと感じているが検査では乳糖を消化できない状態ではなかった20人は、牛乳の種類にかかわらず飲んですぐにお腹の張りやガスなどの症状が出ました。牛乳を飲むとお腹が鳴る原因が乳糖にあるのなら、A2ミルクを探すよりも、乳糖が減っているヨーグルトを選ぶ方が理にかなっています。



乳糖を減らしても残る不調がある


一方で、乳糖を減らした牛乳を飲んでも明らかな症状を訴える人が一定数存在します。糖ではなく、たんぱく質が原因になっている人たちです。

A1型のたんぱく質は、67番目がヒスチジンであるため、ペプチド結合が胃のペプシンや腸のトリプシンなどの消化酵素で切断されやすい構造を持ちます。試験管の中では、上流の7つのアミノ酸残基が切り出され、特定のペプチドになることが確認されました。A2型は67番目がプロリンであり、消化酵素の影響を受けにくく、このペプチドが生成されないと整理されています。

ただし、人の胃や腸の中で実際にこのペプチドが作られ、体に作用しているのかどうかは、まだ確認されていません。公的な機関も、このペプチドが無傷のまま腸の粘膜を越える仕組みはほとんど分かっていないと結論づけています。また、体に作用するペプチドは牛乳に固有のものではありません。大豆などの植物性のたんぱく質からも、似たような働きを持つ配列が見つかっています。



自分の体が何に反応しているのかを確かめる


乳糖を減らしても不調が消えない人にとって、たんぱく質の型が異なるA2ミルクの製品は、試してみる価値のある選択肢になります。特定のたんぱく質が犯人だと思われていた症状が、調べると別の成分によるものだった例は、消化器の分野では実際にあります。

グルテンに過敏だと申告した人を対象にした試験では、グルテンを足したときもホエイという乳清たんぱく質を足したときも同じように症状が悪化しました。別の試験では、糖質を負荷したときの症状スコアがグルテンより有意に高く、グルテンと偽薬の間には差がありませんでした。

たんぱく質を足すこと自体がお腹の負担になることもあります。牛乳を飲んだときのお腹の不快感が、乳糖によるものなのか、たんぱく質によるものなのか。まずはいつもの食卓で、牛乳をヨーグルトに変えてみることから、その答えは見えてきます。



よくある質問


Q. A2ミルクにはA1型のたんぱく質が全く入っていませんか。

「A1がゼロ」と言い切ることはできません。牛は父方と母方から遺伝子を一つずつ受け継ぐため、A2ミルクを作るにはA2A2型の牛だけを選んで搾乳し、他の牛の乳が混ざらないように集乳や製造を管理する必要があります。過去には海外の公正取引当局が、A1が全く含まれないと示唆する表現を問題視した事例もあります。


Q. ヨーグルトの表面に浮いている水は何ですか。

ホエイと呼ばれる水分です。牛乳のたんぱく質は大きくカゼインとホエイに分かれます。カゼインは酸によって固まる性質がありますが、ホエイは固まりません。ヨーグルトに振動が加わったり、スプーンですくったりすると、固まったカゼインの隙間からホエイが染み出してきます。ホエイたんぱく質は胃酸で凝固しないため、カゼインより先に分解されて吸収されます。


Q. ヨーグルトはいつ食べるのが良いですか。

目的や生活リズムに合わせて選んで問題ありません。ヨーグルトの栄養成分は食べる時間帯によって変わるわけではありません。朝食に添えてたんぱく質を補うことも、夜のデザートの代わりにすることもできます。


Q. A2ミルクのチーズはありますか。

製造することは可能です。ただし、A2型の乳はチーズ製造の効率を下げるという報告があります。33回の実地チーズ製造を行った試験では、凝固時間が長く、できたチーズの硬さと弾力も低かったと結論づけられています。一方で、対照乳と比べて大きな差なく製造できるとする試験もあり、結論は割れています。



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この記事はミルクデザイン株式会社が作成しています。北海道紋別郡西興部村で、萩原牧場のグラスフェッド生乳から牛乳・ヨーグルト・バター・チーズ・アイスクリーム・ソフトクリームを製造しています。

 
 
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