お腹がゴロゴロする原因は乳糖とA1、どちらが大きいのか
- 8月18日
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更新日:8月19日
牛乳でお腹がゴロゴロしない牛乳を探すとき、原因を乳糖とA1タンパク質のどちらに求めるべきか迷います。先に疑うべきは乳糖です。乳糖とA1は全く別の成分であり、お腹を下す仕組みも異なります。順番を間違えると、自分に合う牛乳は見つかりません。
乳糖とA1タンパク質は全く別の成分です
牛乳を飲んだ後のお腹の不調には、大きく分けて2つの原因が存在します。一つは牛乳の甘みを作る糖分である乳糖です。もう一つは牛乳のタンパク質の一部であるA1です。これらは牛乳の中で完全に独立して存在しています。糖質とタンパク質という根本的に異なる物質です。
スーパーの牛乳売り場に立つと、お腹の不調に配慮した商品として「乳糖を分解した牛乳」と「A2ミルク」が並んでいます。パッケージだけを見るとどちらもお腹に優しそうですが、アプローチしている原因が異なります。
乳糖を分解した牛乳は、糖質である乳糖をあらかじめ細かく分解した商品です。一方のA2ミルクは、A2A2型の牛だけから搾り、A1型のβカゼインが混ざらないように管理した牛乳です。原因が乳糖にある人がA2ミルクを飲んでも、お腹の不調は解決しません。A2ミルクには通常の牛乳と同じように乳糖がたっぷりと含まれているからです。
逆に、原因がA1タンパク質にある人が乳糖を分解した牛乳を飲んでも、お腹のゴロゴロは止まりません。乳糖を分解しても、タンパク質の構造はそのまま残っているからです。自分の不調の原因がどちらにあるのかを見極めなければ、正しい対策は打てません。どちらの可能性が大きいのかを知るために、お腹の中で何が起きているのかを順番に確かめていきます。
お腹の不調はまず乳糖を疑います
牛乳でお腹が張ったり下したりする人の多くは、乳糖を消化できない状態にあります。これを乳糖不耐と呼びます。牛乳を飲むと、小腸の粘膜にある酵素の働きによって、乳糖は体内に吸収できる形に変わります。
しかし、大人になるにつれてこの酵素の働きが弱くなる人がいます。分解されなかった乳糖は、吸収されないまま大腸へと進みます。大腸には無数の腸内細菌が棲んでおり、流れ込んできた乳糖をエサにして発酵を始めます。この発酵の過程で大量のガスが発生し、お腹を圧迫して張りの原因になります。
さらに、分解されていない乳糖が大腸に留まると、腸の中の水分バランスが崩れます。体は腸内の濃度を一定に保とうとして、周囲の組織から水分を引き込みます。その結果、腸の中に大量の水分が溢れます。これが下痢を引き起こす仕組みです。長年知られている、牛乳でお腹を壊す一番大きな原因です。
牛乳を飲んで不調を感じたら、まずは乳糖を減らした牛乳を試します。売り場の棚にある「おなかにやさしい」といった言葉が書かれた牛乳です。この牛乳は、製造工程で乳糖をブドウ糖とガラクトースという小さな糖に分解しています。小腸で酵素が働かなくても、すでに吸収できる形になっています。
朝のトーストと一緒に乳糖を減らした牛乳を飲んでみます。その後、お腹がゴロゴロしなければ、不調の原因は乳糖にあります。原因が乳糖だと分かれば、乳糖を減らした牛乳を選び続けるだけで済みます。わざわざタンパク質の種類を気にしてA2ミルクを探す必要はありません。
乳糖を抜いても不調が残る人が一定数存在します
乳糖を減らした牛乳を飲めば、すべての人が牛乳を楽しめるようになるわけではありません。乳糖を分解した牛乳を飲んでも、依然としてお腹がゴロゴロする人がいます。この事実を示すデータが存在します。
Jミルクの委託で日本国内で行われた臨床研究があります。日常的に牛乳でおなかに自覚症状が出る人を対象に、単盲検で牛乳を飲ませました。単盲検とは、飲んでいる牛乳の種類を参加者には知らせずに行う試験の形です。その結果、乳糖を減らした牛乳を飲んでも明らかな症状を訴える人が一定数存在しました。
Jミルクはここから「乳糖を原因としない消化器症状を発現する人が一定数存在するという可能性はあるようです」と述べています。乳糖を完全に取り除いてもお腹が痛くなるということは、乳糖以外の何かが腸を刺激していることを意味します。
ここで初めて、タンパク質の可能性が浮上します。牛乳の成分のうち、水分を除いて最も多いのは脂肪とタンパク質と乳糖です。乳糖が原因ではないとすれば、次に疑われるのがタンパク質です。
牛乳には複数のタンパク質が含まれています。大きく分けると、酸で固まるカゼインと、固まらないホエイという2つのグループになります。お腹の不調に関係していると考えられているのは、カゼインの方です。乳糖を減らした牛乳を飲んでも不調が続く人は、このカゼインの働きに目を向ける必要があります。
A1とA2の違いはタンパク質のわずかな構造にあります
牛乳のタンパク質の多くを占めるカゼインの中には、ベータカゼインという種類があります。このベータカゼインは、200個以上のアミノ酸が長く連なった鎖のような形をしています。この鎖の一部がわずかに異なるのが、A1とA2です。
普通の牛乳には、A1とA2の両方が含まれています。A2ミルクは、遺伝的にA2だけを出す牛を集めて搾った牛乳です。A1とA2の違いは、連なっているアミノ酸のたった一つの違いに過ぎません。しかし、このわずかな違いが消化の過程で差を生みます。
A1が胃や腸で消化酵素によって分解されるとき、特定の場所で鎖が切れます。酵素はハサミのような役割を持っています。A1のアミノ酸の並び方は、このハサミが入りやすい形をしています。この切れた断片が、腸の動きに影響を与えるペプチドになります。このペプチドが腸の粘膜を刺激し、炎症を引き起こしたり、腸の動きを過敏にしたりして、お腹のゴロゴロにつながるのではないかと考えられています。
一方、A2はアミノ酸の並び方が異なるため、ハサミが入りません。同じ場所で鎖が切れないため、腸を刺激するペプチドが生まれにくい構造になっています。これが、A2ミルクがお腹に優しいと言われる理由です。
しかし、A1が不調の主原因であると完全に証明されたわけではありません。A1とA2の構造の違いは事実ですが、それが実際の人間の体でどれほどの影響を与えているのかは、まだ研究の途上にあります。A2ミルクを飲めば誰もがお腹を下さなくなるという単純な話ではありません。
現代の科学は不調の原因を一つに絞りきれていません
牛乳でお腹を壊す原因については、世界中で研究が続いています。乳糖とA1のどちらがより影響が大きいのかを調べる試験も行われています。
2025年に酪農科学の専門誌に載ったフィンランドの試験があります。牛乳で不調を訴える36人を対象に、3つのグループでクロスオーバー試験を行いました。クロスオーバー試験とは、同じ参加者が順番に違う種類の牛乳を飲み比べる方法です。
この試験では、乳糖耐性の人ではA2ミルクとタンパク質分解済みの通常乳の間に症状の差はありませんでした。タンパク質分解済みの通常乳とは、あらかじめタンパク質を消化しやすい形にした牛乳です。
さらに、乳糖不耐の人では、乳糖の量が増えるほど症状が増えました。試験の結論は「乳糖を除いたタンパク質分解済みの通常乳は、乳糖耐性の人ではA2ミルクと同等に、乳糖不耐の人ではA2ミルクよりよく耐えられた」というものです。
この結果は非常に重要な事実を示しています。乳糖を除いた牛乳と比べたとき、A2ミルクが優れるという結果は出ませんでした。比較対象の牛乳はタンパク質が分解済みという条件の違いはありますが、お腹の不調を防ぐためには、A1を避けることよりも、A1を避けるより、乳糖を避けるほうが差がはっきり出ています。
A2ミルクが普通の牛乳より常にお腹に優しいとは言い切れません。A2ミルクには乳糖がそのまま含まれているため、乳糖不耐の人が飲めば、量によっては同じように不調が出ます。不調の原因は、A1の存在よりも乳糖の存在のほうが大きいことをこの試験は示しています。
牛乳で不調になる人は一枚岩ではありません
牛乳でお腹がゴロゴロする人たちは、同じ原因で苦しんでいるわけではありません。自覚症状と実際の体の反応には大きなズレがあります。
2020年に臨床栄養学の専門誌に載った試験があります。女性40人を対象にしたこの試験では、参加者の反応が明確に分かれました。乳糖不耐と確定診断された10人では、A2ミルクが吐き気と便意切迫を軽減し、呼気水素の上昇も抑えました。呼気水素は、腸内で乳糖が発酵していることを示す指標です。
一方、自分では乳製品に弱いと感じているが検査では乳糖不耐でなかった20人がいます。この人たちは、牛乳の種類にかかわらず飲んですぐにお腹の張りやガスの症状が出ました。しかし、呼気水素は上がりませんでした。
呼気水素が上がらないということは、腸内で乳糖が発酵していないことを意味します。つまり、消化吸収のメカニズム以外の理由で不調を感じています。牛乳を飲むという行為そのものに対する体の反応や、心理的な要因など、別の要因が絡んでいます。
この試験が示すのは、牛乳で不調になる人は一枚岩ではないということです。乳糖不耐の人、A1に反応する人、検査では異常がないのに不調を感じる人。それぞれ原因が異なります。A2ミルクに変えればすべての不調が消えるわけではありません。
自分の不調がどこから来ているのかを確かめるには、順番を守る必要があります。まずは乳糖を減らした牛乳を試します。それでも不調が残る場合に初めて、別の原因を疑います。冷蔵庫を開けて牛乳をコップに注ぐとき、まずは乳糖という一番大きな原因から向き合ってみてください。
よくある質問
Q. 乳糖不耐の検査は病院で受けられますか。 医療機関で呼気水素テストなどの検査を受けることができます。ただし、日常的な不調の確認であれば、まずは市販の乳糖を減らした牛乳を飲んで体の反応を見る方法が手軽です。
Q. A2ミルクを温めて飲めばお腹は痛くなりませんか。 A2ミルクを温めても乳糖の量は変わりません。不調の原因が乳糖にある場合、温めても腸内での発酵は起きるため、お腹のゴロゴロは防げません。
Q. ヨーグルトやチーズでもA1タンパク質はお腹に影響しますか。 ヨーグルトやチーズなどの発酵乳製品にもA1タンパク質は含まれています。牛乳と同じように消化の過程でペプチドが生成されるため、A1に反応する人は発酵乳製品でも不調を感じる可能性があります。
Q. 毎日少しずつ牛乳を飲めばお腹は強くなりますか。 乳糖を分解する酵素の働きは、牛乳を飲み続けることで劇的に増えるわけではありません。無理をして飲み続けるよりも、乳糖を減らした牛乳を選ぶなど、自分に合う製品を見つけることが大切です。
Q. 乳糖を減らした牛乳は甘く感じますが、砂糖が入っていますか。 砂糖は入っていません。製造工程で乳糖をブドウ糖とガラクトースという2つの糖に分解しています。ブドウ糖は乳糖よりも舌で甘みを感じやすいため、元の牛乳より甘く感じます。
関連する用語
この記事はミルクデザイン株式会社が作成しています。北海道紋別郡西興部村で、萩原牧場のグラスフェッド生乳から牛乳・ヨーグルト・バター・チーズ・アイスクリーム・ソフトクリームを製造しています。


