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手作りバターと工場のバターは何が違うのか

8月17日
読了時間: 5分

更新日:8月20日

生クリームをペットボトルに入れて振ると、手作りのバターができます。しかし、家庭で作ったバターはすぐに傷んでしまうため、その日のうちに食べ切らなければなりません。工場のバターが長持ちするのは、衛生管理の違いだけでなく、水分を極限まで細かく砕いて均一に散らしているからです。



ペットボトルを振ってできるのは「バターの赤ちゃん」


生クリームをペットボトルに入れて激しく振ると、乳脂肪の粒同士がぶつかってくっつき、水分と分離します。この固まりを集めたものが、手作りバターです。 専門用語ではこれを脂肪粒と呼びます。 しかし、このままではまだ完成とは言えません。脂肪粒の中には、分離しきれなかった水分が大きな粒のまま残っています。 微生物が活動できるのは、一定の大きさを持った水たまりの中だけです。手作りバターを冷蔵庫に入れていてもすぐに悪くなるのは、家庭の衛生面の問題だけではなく、この水たまりがバターのあちこちに残っているためです。 手作りの限界は、この水分の粒を自力で細かく砕くことができない点にあります。 では、工場ではこの水たまりをどう処理しているのでしょうか。



水分を砕いて見えなくする「練圧」という工程


工場では、集めた脂肪粒に圧力をかけて練り上げる作業を行います。 日本の法律である乳等省令では、バターは「生乳、牛乳又は特別牛乳から得られた脂肪粒を練圧したもの」と定義されています。 この練圧こそが、手作りと工場の決定的な違いです。 バターを強く練り込むと、中に残っていた水分が目に見えない微細な粒に砕かれ、脂肪の中に均等に散らばります。 水分の粒が極小になると、微生物はそこに入り込んで活動することができません。 保存料を使わなくても工場のバターが長持ちするのは、水を細かく砕く物理的な仕組みによるものです。 同時に、この練る作業によってバター特有のなめらかな口当たりが生まれます。 水分が均一に散っているからこそ、冷蔵庫から出したての固い状態でも、ナイフを入れるとしっとりとした感触が伝わるのです。 私たちが工場でバターを作るとき、どこまで練り上げるかの見極めは、季節によっても変わってきます。



季節の草がバターの固さと色を変える


牛が食べるエサによって、乳脂肪の性質は変化します。 北海道西興部村でグラスフェッドの牛を育てる私たちの牧場では、季節によってバターの仕上がりがはっきりと変わるのが特徴です。 夏、青草をたっぷり食べた牛のミルクから作るバターは、すっきりとして後味が軽く、ミルクの甘みが残ります。 青草の香りが立ち、草に含まれる色素によって色は黄色みを帯びるのが夏のバターです。 一方、冬になって貯蔵した干し草を食べるようになると、乳脂肪が乗ってコクが増し、濃厚な仕上がりになります。 色は白に近づき、草の香りは穏やかになるなど、季節ごとの個性が現れます。 夏と冬では脂肪の固さが違うため、練圧の力加減や時間を細かく調整しなければなりません。 軽さに驚く、あっさりしているというのは、私たちが作る夏のグラスフェッドバターを食べた方からよく聞かれる反応です。 美味しいバターを作るには、想像以上の量の生乳を用意する必要があります。



200グラムのバターに4リットルの生乳を使う


バターを作るために必要な生乳の量は、非常に膨大です。 バター1キログラムを作るには、生乳が約20から23キログラム必要とされます。 スーパーの売り場でよく見る200グラムの箱入りバターなら、約4リットルもの生乳を使う計算です。 生クリームから手作りする場合でも、出来上がるバターは元のクリームの量の半分以下にしかなりません。 法律では、バターの成分は乳脂肪分80.0パーセント以上、水分17.0パーセント以下と定められています。 大腸菌群が陰性であることも厳しい基準の一つです。 牛乳のほとんどは水分ですから、そこから脂肪分だけを80パーセント以上になるまで濃縮していくのは、とても贅沢な工程と言えます。 次に手作りバターに挑戦するときは、ぜひこの濃縮の過程を体感してみてください。



手作りバターを美味しく楽しむための手順


家庭でバターを作る際は、以下の手順で行うと失敗が少なくなります。


  • 乳脂肪分40パーセント以上の種類別クリームを選ぶ

  • クリームを冷蔵庫でよく冷やしておく

  • 清潔なペットボトルや密閉容器に入れ、音が変わって水分が分離するまで強く振る

  • 固まりを取り出し、氷水の中で優しくもみ洗いして残った白い水分を抜く

  • 水気をしっかり切り、その日のうちにトーストや料理に使い切る


氷水で洗う工程は、工場での水洗いや練圧の代わりになる重要な作業です。 できるだけ水分を抜くことで、手作りでもなめらかな口当たりに近づけることができます。 朝のトーストに手作りのバターを乗せるとき、工場で行われている見えない工夫に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。



よくある質問


Q. 手作りバターを作った後に残る白い液体は何ですか? バターミルクと呼ばれる水分です。ほんのり甘みがあり、そのまま飲んだり、パンケーキやスープの水分として料理に使ったりすることができます。


Q. 手作りバターに塩を混ぜるタイミングはいつですか? 水分をしっかり絞り出した後、最後に塩を加えてゴムベラなどで練り込みます。無塩バターとして使う場合は、そのまま塩を入れずに完成です。


Q. 工場のバターはなぜあんなに黄色いのですか? 着色料は使っていません。牛が食べた草に含まれるカロテンという色素が乳脂肪に移行するためです。青草を食べる夏のバターは特に黄色が濃くなります。


Q. スーパーの生クリームでバターを作ると、グラスフェッドバターの味になりますか? なりません。バターの風味は原料となる生乳の質で決まります。一般的な生クリームは穀物を食べて育った牛のミルクから作られているため、グラスフェッド特有の草の香りや軽やかさとは異なる仕上がりになります。



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この記事はミルクデザイン株式会社が作成しています。北海道紋別郡西興部村で、萩原牧場のグラスフェッド生乳から牛乳・ヨーグルト・バター・チーズ・アイスクリーム・ソフトクリームを製造しています。

 
 
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