牛乳を泡立ててミルクフォームを作るには
牛乳の泡立ちを調べた研究では、脂肪を除いた乳(脱脂乳)の泡は、45℃で作ったときに最も安定しました。泡を支えるのは乳のたんぱく質で、乳脂肪はむしろ泡を壊す側に回ります。カプチーノの上に乗る泡の持ちには、温度と脂肪分の関係が関わっています。
泡を支えるのはたんぱく質で、乳脂肪は泡を壊す
牛乳の泡を支えているのは、乳に含まれるたんぱく質です。一方で、脂質は泡の形成と安定性を損なう側に働きます。
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年によると、「普通牛乳」は100gあたりたんぱく質3.3g、脂質3.8gを含みます。同じ成分表の「脱脂乳」は、100gあたりたんぱく質3.4g、脂質0.1gです。たんぱく質の量はほぼ同じで、脂質の量が大きく違うことが分かります。
牛乳の泡立ちに関する2010年の総説によると、脂質は、乳脂肪が部分的に結晶化している20℃前後でとくに泡の形成と安定性を損ないうるとされています。また、脂質のなかでも次の成分は、泡立ちを強く妨げるとされています。
リン脂質
遊離脂肪酸
部分グリセリド
同じ総説は、牛乳の泡立ちは組成と加工の影響を受けるとしています。脂質の量と種類、そして泡立てる温度が、泡の持ちを左右する要素ということになります。
脱脂乳の泡は45℃で作ったときに最も安定する
温度も泡の持ちを決める大きな要素です。5~85℃の範囲で牛乳の泡立ちを調べた研究では、脱脂乳の泡は45℃で作ったときに最も安定しました(2008年の論文)。先の総説でも、脱脂乳の泡は非常に安定になることがあり、とくに40~50℃で作ったときにそうであるとされています。
ここで言う45℃とは、コップに入れて飲むときの温度ではなく、泡立てたときの乳の温度を指します。また、これは実験室で泡のできやすさと持ちを測った結果で、家庭用のフォーマーやスチーマーでの最適な温度を調べたものではありません。
乳脂肪を含む全乳(脂肪を除いていない乳)については、同じ研究で別の結果が出ています。乳脂肪は全乳の泡の形成と安定性を損ない、その影響はとくに15~45℃の範囲で大きかったとされています。脱脂乳の泡が最も安定した45℃も、全乳ではこの範囲に入ります。
ただし、この乳脂肪の悪影響は、ホモジナイズ(均質化)と超高温(UHT)処理によって小さくなったと報告されています。同じ「乳脂肪を含む乳」でも、加工のされ方によって泡立ちへの影響の大きさが変わるということです。
泡の持ちと口当たりの良さは別の話
研究では、脱脂乳を45℃で泡立てたときに最も安定した泡になりました。しかし、それがそのまま一番おいしいミルクフォームになるかどうかは、この研究からは分かりません。論文の研究は、あくまで実験室で泡のできやすさと持ちを測ったものです。
泡の量が多くて長持ちすることと、口に含んだときの味やなめらかさは別の話です。ここで紹介した研究は、味や口当たりの良さは扱っていません。
カプチーノのような飲み物では、牛乳の泡立ちが望まれます。一方で、粉乳や乳児用調製粉乳を溶かす場面では、泡立ちは望まれません。牛乳の泡立ちは、組成と加工の影響を受けます。用途によって、牛乳の泡は求められたり避けられたりします。
研究から言えるのは、泡の量と持ちについての話までです。脂肪を除いた乳の泡は45℃で作ったときに最も安定し、乳脂肪は全乳の泡をとくに15~45℃の範囲で損ないました。手元の牛乳の成分表示で脂肪分を確かめておくと、泡立ちの違いを考える手がかりになります。
よくある質問
Q. 冷蔵庫から出したばかりの牛乳は泡立ちませんか? 泡立てる温度によって、泡の持ちは変わります。5~85℃で牛乳の泡立ちを調べた研究では、脱脂乳の泡は45℃で作ったときに最も安定しました。また、全乳では乳脂肪による悪影響がとくに15~45℃の範囲で大きかったとされています。
Q. 普通牛乳で泡を作るコツはありますか? 乳脂肪は泡を壊す側に回りますが、ホモジナイズ(均質化)と超高温(UHT)処理によってその悪影響は小さくなったと報告されています。なお、泡が最も安定した45℃という温度は、脱脂乳で得られた結果です。
Q. 牛乳の泡立ちは用途によって邪魔になりますか? カプチーノのような飲み物では泡が望まれます。一方で、粉乳や乳児用調製粉乳を溶かすときには、泡立ちは望まれません。牛乳の泡立ちは組成と加工の影響を受けるとされています。
関連する用語
この記事はミルクデザイン株式会社が作成しています。北海道紋別郡西興部村で、萩原牧場のグラスフェッド生乳から牛乳・ヨーグルト・バター・チーズ・アイスクリーム・ソフトクリームを製造しています。


